6月30日、ロシア・トベリ州での第2次世界大戦記念式典にプーチン露大統領(右)と出席した、ルカシェンコ・ベラルーシ大統領(左)(C)AFP=時事

 

「欧州最後の独裁者」アレクサンドル・ルカシェンコ・ベラルーシ大統領は、8月9日の大統領選後、不正選挙に反発する国民の抗議デモで最大の政権危機に陥った。「新憲法の制定後に権限を委譲する」と時間稼ぎをしているが、26年に及ぶ独裁政治への不満はかつてなく高まり、いずれ退陣は不可避だろう。

 ベラルーシ情勢の最大の焦点は、ベラルーシを勢力圏とみなすロシアが2014年のウクライナ危機のように、武力介入するかどうかにある。

 後継政権をめぐり駆け引きが始まっているが、現時点では反政府勢力は北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)加盟のスローガンを掲げず、ロシアは静観の構えだ。関係当事者はウクライナ危機の再来を恐れ、慎重姿勢が目立つ。

 だが、ベラルーシは旧ソ連6カ国の集団安保条約機構に加盟し、ロシアとは連合国家条約を結び、ロシア最大の同盟国だ。武力介入の口実には事欠かず、地政学の微妙な均衡が崩れる時、ロシア介入のリスクが高まろう。

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