香港メディア『香港01』より

 香港から台湾への距離は、およそ700キロ。東京から広島よりもちょっと遠いぐらいである。フライトなら1時間半。毎日数十本の往来便があり、東アジアのヒト・モノ・カネが活発に動いている太いルートだった。

 しかし、香港情勢の悪化と中台関係の緊張、そして香港の民主化運動を支持する台湾の蔡英文政権の姿勢によって、香港・台湾関係はすっかり冷え込んでいる。さらに新型コロナウイルスによる往来の滞りもあって、両地の間には、新冷戦を象徴する目には見えない新たな「ベルリンの壁」が立ちはだかったようにすら見える。

 そのなかで、かつて東西ドイツを隔てたベルリンの壁を超えて越境した東ドイツの人々のように、香港から「密航」というリスクの高い手段によって「壁」を越え、台湾へ渡ろうとする香港の若者たちが続々と現れている。

 結果、漂流して台湾の離島に流れ着いた者たちもいれば、中国の船に拿捕された者たちもいる。いずれも、2019年の香港の抗議運動に参加した末に、何らかの罪状で逮捕・起訴されたり、国家安全維持法(国安法)によって摘発のリスクを抱えたりした若者たちと見られている。

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