続・中東の激変とそれでも変わらない現実

執筆者:池内恵2020年9月8日

【編集部注:本稿は『WEB版フォーサイト』10周年記念特集『フォーサイトで辿る変遷10年(2)中東の激変とそれでも変わらない現実』のつづきです】

月刊誌『フォーサイト』は休刊の際にその先20年間の世界情勢を展望していたが、現在はその半ばの「折り返し地点」に達したことになる。

その間に中東は激変を繰り返した。

2010年末から2011年初頭に始まった「アラブの春」は、それまでの中東の諸国を覆っていた気だるい「停滞の下での安定」の秩序を揺り動かした。

「アラブの春」による動揺と激変は、メディアの変化に伴うものだった。政権打倒を叫ぶ若者たちが、手にしたスマートフォンでインターネットとSNSを通じて結集する。これを観察し分析するのも、もっぱらインターネットを介して行うことが常態となった。

結果的に、『フォーサイト』は良い時にWEB版に切り替えていたことになる。

私も、WEB化した連載『中東―危機の震源を読む』に加え、『中東の部屋』や『池内恵の中東通信』という新たな連載枠を加えて、臨機応変に対応して分析を提供する仕組みを編集部と共に工夫していった(編集部注:9月1日のサイトリニューアルにより『中東の部屋』は廃止し、部屋の過去記事はすべて筆者名「池内恵」の記事一覧で確認できます)。

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