安倍政権は、アベノミクスのスタート当初から、「第一の矢」(金融)と「第二の矢」(財政)は合格点だが、「第三の矢」(成長戦略)は落第、と言われ続けてきた。評価は覆らないまま、長期政権が終わった。

 成長戦略の一丁目一番地とされたのは、「岩盤規制」改革だった。

 当初の安倍晋三首相の意気込みは強かった。2014年のダボス会議では自ら「これから2年間で、ドリルですべての岩盤規制を砕く」と表明し、世界の注目を集めた。しかし、残念ながら成果は乏しく、課題は新政権に積み残された。

 成果が全くなかったわけではない。

 農協制度は60年ぶり、漁業制度は70年ぶりの大改革がなされた。国家戦略特区では、37年ぶりの医学部新設、52年ぶりの獣医学部新設もなされた。国家戦略特区の都市計画手続の特例を活用し、東京都内では30カ所以上の再開発プロジェクトが進んだ。

※本表は内容に部分的加筆をし、10月5日にアップデートしています。
 

 だが、多くの分野で規制改革は停滞した。

 とりわけ、世界で急速に進むデジタル変革への対応は出遅れた。医療や教育のオンライン対応など、部分的には前進しつつも、厚い壁をなかなか突破しきれなかった。そうこうするうち、コロナ禍で図らずも改革の遅れが露呈した。

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