せっかくのグリーンエネルギーも「蓄電」技術のイノベーションが起きなければ意味がない(写真はイメージです)

 つい先日、某所でお話をする機会があり、国際石油市場の現状と今後の展開について所見を述べた。

 結論だけ紹介すれば、次のとおりである。

〈最重要かつ最大の不確定要因は、「新型コロナ」がいつ、どのように収束するか、である。素人談義なることを承知で言えば、ワクチンと治療薬が開発・実用化されるまで収束することはなく、その時期は早くて来年後半から来年末ではないか。したがって、世界景気も石油需要も、来年末までは「危機前」水準には戻らず、油価(WTI)も2021年末までは45~50ドルを天井とする上値の重い展開となるのではなかろうか〉

 レポート後の質疑の中で、

「欧州では『新型コロナ』による不況からの復興策として『グリーン成長戦略』が打ち出されているが、日本でできるとしたら何だとお考えですか?」

 と問われた。

 筆者の回答は、次のように身もふたもないものだった。

〈山岳地域が多く平地が少ない風光明媚なわが日本の気候は、再エネ源としてはきわめて不適当なものだ。中東や北アフリカのようにすべてを焼きつくすような太陽が大地に降り注いでいるわけでもなく、北海のように常時強風が吹き荒れているわけでもない。産油国・産ガス国のようには大量の石油、天然ガスを胚胎していないのと同じように、再エネ源も『持たざる国』なのだと認識すべきだ。残念ながらわが国には、グリーン成長戦略を描ける素地はほとんどない〉

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