イスラエルの外交政策・戦略の成果が次々に

執筆者:池内恵2020年9月12日

2020年は「イスラエル外交の最高の時」となりそうだ。

先月のUAEに続き、9月11日に、バーレーン(バハレーン)が、イスラエルとの国交正常化(normalization)に踏み切った。米トランプ大統領が、バーレーンのハマド・ビン・イーサー・アール=ハリーファ首長及びイスラエルのネタニヤフ首相との電話会談の後に、これを発表した。

8月13日に、UAEの対イスラエル国交樹立が、米国の仲介により発表されたが、これにサウジアラビアをはじめとする他のGCCの湾岸産油国が追随するかが焦点となっていた。

もしどの国も追随しなければ、UAEの動きは、時期尚早の、功を焦った「フライング」ともなりかねなかった。特に、GCC諸国の対イスラエル国交樹立の追随なしに、11月の米大統領選挙でトランプ大統領が敗れた場合、この合意そのものの地域に及ぼす影響は大いに相殺されかねなかった。

しかしバーレーンが追随したことは、UAEの一足早い対イスラエル接近に、GCC湾岸産油国、さらにはスーダンなど他のアラブ諸国が追随する機運を醸成する。サウジアラビアは、サルマーン国王が、これまでの姿勢を当面堅持する見通しだが、息子のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は対イスラエル接近路線であり、UAEとバーレーンの後を追うことは「時間の問題」と見られる。

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