アメディ・クリバリが立てこもったユダヤ教徒向けスーパー「イペール・カシェール」。当時、犠牲者4人の写真が掲げられていた (2015‎年‎3‎月‎21‎日、筆者撮影)

 

 イスラム過激派のテロ遂行能力をまざまざと見せつけ、また表現の自由へのあからさまな挑戦として論議も呼んだ、2015年パリの風刺週刊紙『シャルリー・エブド』襲撃事件を巡る裁判が、発生から5年半あまりを経て9月2日から始まった。

 襲撃を実行したサイード・クアシとシェリフ・クアシの兄弟と、襲撃事件と連動したユダヤ教徒向けスーパー「イペール・カシェール」立てこもり事件の主犯アメディ・クリバリは現場で射殺された。法廷はこの3人以外の被告を裁く場となる。11月10日までパリ市裁判所で開かれる。

 被告は全部で14人だが、そのうちクリバリの妻アヤト・ブメディエンヌと、クリバリの密接な協力者モアメド・ベルシヌ、メディ・ベルシヌの兄弟の計3人は出廷しない。3人とも事件発生直前に「イスラム国」(IS)に逃亡したまま、消息を絶ったからである。ベルシヌ兄弟はすでに戦場で死亡したと見られている。

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