月刊の国際政治経済情報誌として1990年3月に誕生した『フォーサイト』は2010年9月にWEB版として生まれ変わり、この9月で10周年を迎えました。

 これを記念し、月刊誌の時代から『フォーサイト』にて各国・地域・テーマの最先端の動きを分析し続けてきた常連筆者10名の方々に、この10年の情勢の変化を簡潔にまとめていただきました。題して「フォーサイトで辿る変遷10年」。平日正午に順次アップロードしていきます(筆者名で50音順)。

 第7回は【香港・台湾】野嶋剛さんです。

 

 香港は激動の10年だった。

 2012年の愛国教育反対運動、2014年の雨傘運動を経て、香港への圧力を強める中国に対する反発がつのり、2019年の逃亡犯条例改正案反対運動で一気に爆発した。

 そして今年、中国は反転攻勢に出た。全国人民代表大会で香港の頭越しに国家安全維持法案を可決し、新型コロナウイルス感染拡大を理由に親中派不利と見られた立法会選挙を延期。同法を盾に民主派勢力の弾圧を続けている。

 香港で『十年』という5作品のオムニバス映画が上映され、大きな反響を呼んだのは、この10年の中間点にあたる2015年のことだ。映画では、香港で広東語が使えなくなり、香港を「地元」と呼ぶ言葉が摘発され、絶望した市民が焼身自殺を起こす。ディストピアと呼べるようなあまりに悲観的な内容に、「これは現実的じゃない」という声も上がったものだが、その後の香港はまさに『十年』の世界に近づいている。

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