揃って英国で会見した中西会長(左)と東原社長。2015年のこの当時に決断していれば……(C)時事
 

 日立製作所が9月16日、英国での原子力発電所建設・運営プロジェクトから撤退すると発表した。あれっ? とクビを捻った向きも少なくなかったのではないか。

 というのも、日立はすでに2019年1月に「経済合理性の観点からプロジェクトの凍結を決定」(9月16日付同社ニュースリリース)と発表していた。その後1年半余りの間新たな動きはなく、プロジェクトは自然消滅した印象が広がっていたからだ。

 ところが、今年8月になって英国政府から「事業復活」に向けてアプローチがあり、もはや新規の原発案件に携わる気のない日立は、「凍結」より強い「撤退」を宣言することで完全な“縁切り”を図ったというのが真相といえる。

背筋を凍らせた『FT』記事

「プロジェクト凍結から20カ月が経過し、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより投資環境が厳しさを増していることも考慮し、撤退する判断に至りました」

 今回の日立の「撤退宣言」は、記者会見を開くこともなく、冒頭にも引用したニュースリリース一片のみ。3兆円規模の超大型プロジェクトだったにもかかわらず、実にあっさりとしたものだった。

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