「バイデン大統領」は脅威ではないという米石油業界の強気

オンラインセミナー開催に寄せて

執筆者:岩瀬昇2020年9月28日
 

 9月29日(火)夜に予定されている「新潮社Foresight WEB化10周年記念大鼎談」では、中東・イスラムの権威・池内恵先生、軍事が専門ながらロシアのあらゆる方面に通暁している小泉悠先生のお二人と、『2020年「石油価格戦争」その後とこれから』と題して議論することになっている。ニッチな石油市場を観察している筆者にとって、その骨格をなしている中東、ロシアの政治・経済・社会などの基本的事項並びに最新の動静を、その道の碩学から直接学べる好機である。視座が拡大するのは間違いがない。

 筆者が、お二人に問題提起しようと考えているテーマの1つに、「バイデン『大統領』が誕生したら?」というものがある。

 当然ながら筆者の関心は、米国の環境エネルギー政策にある。

 英大手国際石油「BP」のボブ・ダドリー前CEO(最高経営責任者)が繰り返し指摘していたエネルギー業界が直面している課題、すなわち「More Energy Less Carbon」という、二律相反する課題を例に引いて分かりやすく対比すると、ドナルド・トランプ大統領のエネルギー政策は「More Energy」そのものだと言える。「パリ協定」からの脱退を強行したトランプ大統領には、環境政策の名に相応しいものは皆無だ。

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