エアバス社が公開した「水素ジェット」のイメージ。果たして実現するのか……(同社HPより)
 

 読者の皆さんは「グリーン水素」という言葉をご存知だろうか?

 では「ブルー水素」は?

 思えば筆者は、処女作『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』(文春新書、2014年9月)の中で、

〈次世代のエネルギーの主役は水素になるだろう〉

 と語った「ミスターOPEC(石油輸出国機構)」と称されたサウジアラビア(サウジ)の元石油相ザキ・ヤマニの言葉を紹介している。

〈石器時代は石材が枯渇したから終わったのではない。石油の時代も、石油が枯渇する前に終了するだろう〉

 との至言の方が有名だが、「水素主役論」もまた、『日本経済新聞』が行ったインタビューの中でヤマニが語ったことだ(『日経』2009年7月4日朝刊「世界は語る」)。

 当時、新聞等の報道を見聞していて「水素社会」という言葉に遭遇しても、石油開発会社に勤務していた筆者にはピンと来なかった。

 だから『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』の中でも、

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