射殺された男性が乗船していた漁業指導船「ムグンファ10号」の前で、取材に応じる文成赫海洋水産部長官 (C)EPA=時事

 

 北朝鮮が韓国の民間人を銃殺する、という事件が発生した。同様の事件は2008年7月、金剛山観光に参加していた主婦以来、12年ぶりの悲劇だ。

 さらに韓国側の発表では、北朝鮮は新型コロナウイルスの感染防止のため、銃殺した後に油をかけて遺体を焼いたとされ、韓国民は大きな衝撃を受けた。

 北朝鮮が6月、開城にある南北共同連絡事務所を爆破したのに続く蛮行だけに、冷え切ってきた南北関係はさらに悪化するとみられる。

 北朝鮮は事件発生5日目の9月25日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の「謝罪」を含む「通知文」を韓国側に送った。北朝鮮の最高権力者がこうした「謝罪」をするのは極めて珍しく、北朝鮮側も南北関係をこれ以上悪化させたくないための措置とみられた。

 一方、南北関係の改善を政権最大の課題とする文在寅(ムン・ジェイン)政権は、金党委員長の迅速な「謝罪」に安堵しながら、共同調査や軍事当局者間の連絡ルートの復旧を要求するなど、国民感情を抑えるために懸命だ。

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