「シェル」はHPでベン・バン・バーデンCEOが「私たちは変われる!」と宣言しているが……
 

「新型コロナウイルス」パンデミックにより、すべてが変わってしまった。

 もしかすると、我々の記憶の中の「事実」も、まったく違ったものに見えるのかもしれない。

 たとえば昨年の6月12日、安倍晋三首相(当時)はイランの首都テヘランに降り立った。日本の首相としては、イラン・イスラム革命が胎動し始めていた1978年9月、テヘランなど主要都市に戒厳令が敷かれる直前に訪問した福田赳夫以来のことだ。

 筆者は、おせっかいであることを承知で、勝手に『安倍首相「イラン訪問」のこれしかない手土産』(2019年6月10日)を考えていた。

 まさにその6月12日、日本企業が運航しているケミカル・タンカー等がテロ攻撃され、最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師およびハサン・ロウハニ大統領と会談したという事実以外は、メデイアの関心から吹き飛んでしまったようだった。

 当事者も、「この訪問の成否についての評価は外部の方々に委ねたい」としている(「イラン政治のうねりの中で」在イラン大使館一等書記官角潤一、『外交』2020年9・10月号所収)。

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