岩瀬昇のエネルギー通信 (154)

安倍首相「イラン訪問」のこれしかない「手土産」

「アラブ・ニュース」の報じたとおりになるか(同紙HPより)

 

 安倍晋三首相がイランを訪問する。6月12日から14日まで、3日間の予定だ。

 外務省の事務方は大忙しだろう。イラン・イスラム革命(1979年)後、現体制の政権となってから初めての日本国首相の訪問だから、如何なるミスも許されない。だからと言って「防御」に専念していたら、「何しに行ったんだ」と野党が騒ぐのは必至だから、「攻撃」も考えなくてはならない。どういう「成果」を目指すのか。

 現任の外務省中東アフリカ局長は30年ほど前、私的な「先物取引研究会」で議論を交わしたご縁のある方だ。当時、ニューヨークで「NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル・エクスチェンジ)」が大成功しており、東京にも同じような石油先物市場を作れないか、そもそも先物商品とは何か、という基礎的な勉強から始めた研究会だった。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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