石油開発には膨大な資機材とともに大量の労働力が必要とされてきたが……(C)AFP=時事
 

「エネルギーアナリスト」として活動する将来などまったく考えていなかった2006年5月、「盤谷(バンコク)日本人商工会議所」運輸部会で、「小産油国タイと最近の原油価格動向」と題して講演をしたことがある。1980年代半ばの「逆オイルショック」以来、長らく低迷していた原油価格が上昇し始めていた頃で、筆者は「三井石油開発」のバンコク事務所長の任にあった。

 本稿執筆中の現在は、5月末以来、一種の「疎開中」の身なので、手元に資料がないため不確かだが、原油価格の歴史を振り返って、

「石油開発業界は逆オイルショックに始まる油価低迷を乗り切るため、多くの業務効率化を行った。たとえば、地震探査で入手した膨大なデータ量の解析にコンピューターを導入し、それまで2年かかっていた作業を半年にすることができた」

 などの事例を紹介したおぼろげな記憶がある。

 他にも、隣接する海上プロジェクトを保有している企業同士が、それまではタブーだった原油や天然ガスなどの生産物を輸送するパイプラインの共用や、スタッフや資機材を運搬するヘリコプターの共同運航などを行うようになった、といった話もしたはずだ。

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