米大統領選「無法と無秩序」広げる「法と秩序」の「魔力」
2020年10月14日
“law and order(法と秩序)”――。
米大統領選挙のキャンペーンで、トランプ陣営がこのフレーズを繰り返す理由が、私を含めて、米国人以外にはピンと来ないように思える。
いや、現地発のニュースを見ていると、一応の説明は受ける。黒人差別への抗議活動“Black Lives Matter(BLM)”の一部が暴徒化していることに対して白人社会が不安感を募らせ、ドナルド・トランプ大統領が、
「(ジョー・)バイデンは過激な左派の暴徒たちに甘い、『法と秩序』を重んじる自分でなければ治安は守れない」
とアピールするのは効果があるのだ、と。
だが、この論理には根本的な瑕疵がある。
現在の大統領はそのトランプ氏なのだ。
「民主党の知事たちが連邦軍の投入を妨げている」
といった主張もしているが、それでも、「トランプ政権のアメリカ」で暴動(そうなった抗議活動は全体のごく一部だ)は起きているのであって、「バイデン政権のアメリカ」ではない。つまり、「自分が大統領ならアメリカは安全」だというなら、そもそも暴動は起きていないはずなのだ。
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