中国の「左翼」日本の「右翼」と「良薬」

執筆者:柯隆2020年10月19日
文化大革命時、毛沢東主席を熱狂的に迎えた紅衛兵の「DNA」が現代中国にも引き継がれている(C)AFP=時事
 

 中国のインターネットのSNSで少しでも政府の政策を批判する書き込みをすると、「小粉紅」と呼ばれる左翼の人たちに猛攻撃される。彼らが人を攻撃する常套手段として、まず相手を売国奴などと定義して、民族の罪人と罵倒する。しかも、その言葉遣いは下品極まるものである。

 新型コロナウイルスの感染拡大により武漢市が封鎖されたとき、地元の女流作家・方方氏は毎日、武漢で起きたことを日記に綴ってネットにアップしていた。とりわけ偏った内容ではない『方方日記』は、医療崩壊などの真実を暴露しただけで、「小粉紅」の集団攻撃を受け、「売国奴」、「売春婦」などと罵倒された。なかには、自らを勇士と称して、方方氏を殺しに行くとの書き込みもあった。これらの書き込みはヘイトであり、明らかに犯罪である。しかし、警察に取り締まられていない。

 中国社会では、昔から「愛国無罪」という価値観があった。人々の行動が愛国的な行動であれば、たとえ法律に抵触する可能性があっても、取り締まられる心配はほとんどない。かつて、中国で反日デモが起きたとき、暴徒化した群衆は日本車を見つけ、破壊した。しかも、そのドライバーを殴り半殺しにした事件があった。その犯人たちはいまだに野放しのままである。

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