中国の「左翼」日本の「右翼」と「良薬」

執筆者:柯隆 2020年10月19日
エリア: アジア
文化大革命時、毛沢東主席を熱狂的に迎えた紅衛兵の「DNA」が現代中国にも引き継がれている(C)AFP=時事
 

 中国のインターネットのSNSで少しでも政府の政策を批判する書き込みをすると、「小粉紅」と呼ばれる左翼の人たちに猛攻撃される。彼らが人を攻撃する常套手段として、まず相手を売国奴などと定義して、民族の罪人と罵倒する。しかも、その言葉遣いは下品極まるものである。

 新型コロナウイルスの感染拡大により武漢市が封鎖されたとき、地元の女流作家・方方氏は毎日、武漢で起きたことを日記に綴ってネットにアップしていた。とりわけ偏った内容ではない『方方日記』は、医療崩壊などの真実を暴露しただけで、「小粉紅」の集団攻撃を受け、「売国奴」、「売春婦」などと罵倒された。なかには、自らを勇士と称して、方方氏を殺しに行くとの書き込みもあった。これらの書き込みはヘイトであり、明らかに犯罪である。しかし、警察に取り締まられていない。

カテゴリ: 政治 社会 IT・メディア
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執筆者プロフィール
柯隆(かりゅう) 公益財団法人東京財団政策研究所主席研究員、静岡県立大学グローバル地域センター特任教授、株式会社富士通総研経済研究所客員研究員。1963年、中国南京市生まれ。88年留学のため来日し、92年愛知大学法経学部卒業、94年名古屋大学大学院修士取得(経済学)。同年 長銀総合研究所国際調査部研究員、98年富士通総研経済研究所主任研究員、2006年富士通総研経済研究所主席研究員を経て、2018年より現職。主な著書に『中国「強国復権」の条件:「一帯一路」の大望とリスク』(慶応大学出版会、2018年)、『爆買いと反日、中国人の行動原理』(時事通信出版、2015年)、『チャイナクライシスへの警鐘』(日本実業出版社、2010年)、『中国の不良債権問題』(日本経済出版社、2007年)などがある。
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