【特別コラム】コロナと生きるということ(3)専門家の罠
2020年11月1日
新型コロナウイルスの感染拡大は、現代社会に内蔵されているさまざまな弱点を顕在化させたように思われる。
2020年1月、全世界は中国の武漢で新しいウイルスが爆発的に感染を拡大させているという衝撃的なニュースを受け取った。病院に殺到した人々、その廊下で息を引き取ったらしい映像。感染者も死者も激増し、街はロックダウンへとむかっていく。
それは、とりあえずは、中国のニュースであったが、多くの人たちはこの事態が早々全世界のものになるだろうことを予想した。いうまでもなく現代世界はグローバルに結びつき、物も人も国境を越えて移動している。
2月1日、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客のなかに感染者のいたことが判明する。船は2月3日に横浜港に着岸し、ここで集団感染が確認されていった。それ以上に多くの人たちに衝撃を与えたのは、3月29日に亡くなったタレント、志村けんの出来事だったのかもしれない。
こうして日本の社会にコロナウイルスへの怯えが蔓延していった。4月7日に東京や大阪、福岡などを対象にした緊急事態宣言が発せられ、それは16日には全国に拡大された。宣言が全国で解除されたのは5月25日である。
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