【特別コラム】コロナと生きるということ(3)専門家の罠

執筆者:内山節 2020年11月1日
エリア: アジア
 

 新型コロナウイルスの感染拡大は、現代社会に内蔵されているさまざまな弱点を顕在化させたように思われる。

 2020年1月、全世界は中国の武漢で新しいウイルスが爆発的に感染を拡大させているという衝撃的なニュースを受け取った。病院に殺到した人々、その廊下で息を引き取ったらしい映像。感染者も死者も激増し、街はロックダウンへとむかっていく。

 それは、とりあえずは、中国のニュースであったが、多くの人たちはこの事態が早々全世界のものになるだろうことを予想した。いうまでもなく現代世界はグローバルに結びつき、物も人も国境を越えて移動している。

カテゴリ: 社会 カルチャー 政治
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執筆者プロフィール
内山節(うちやまたかし) 哲学者。1950年、東京生まれ。群馬県上野村と東京を往復しながら暮らしている。著書に『「里」という思想』(新潮選書)、『新・幸福論』(新潮選書)、『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』(講談社現代新書)、『修験道という生き方』(共著、新潮選書)、『いのちの場所』(岩波書店)、『内山節著作集』(全15巻、農山漁村文化協会)など多数。
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