【特別コラム】近代という「神話」の終焉(5)
ロシアを戦争に走らせた現代の「覇権」

今回はウクライナ問題の背景に、近代社会のどんな問題が横たわっているのかを考察する。
戦争が形成した近代の世界
西ヨーロッパで近代的世界が姿を現したのは18世紀のことだった。イギリスで産業革命がおこり、フランスでは1789年にフランス革命が成立した。国民国家、市民社会、資本主義的な市場経済が一体化した近代的世界のかたちがみえはじめた。
この時代は、ヨーロッパ諸国がたえず戦争をくり返している時代でもあった。イギリス、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、フランス、イタリア、ドイツなどが、ときにヨーロッパの地域内で、ときに植民地をめぐって戦いを繰りひろげていた。近代的世界は、戦争の世紀とともに形成されたのである。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン