【特別コラム】近代という「神話」の終焉(4)
中央権力と民主主義の欠陥
私が小学生だった頃、日米安保条約の改正があった。1960年のことである。このときは新安保条約への賛成、反対をめぐって国論が二分したといわれ、連日、数万人規模のデモ隊が国会を取り巻いて反対の声を上げていた。この状況のなかで、自民党による強行採決が5月におこなわれ、翌日からは民主主義は死んだとか、民主主義を守れという主張がさまざまな場所から発せられた。小学校の教室のなかでさえ、それは議論になったほどである。
民主主義という「憂鬱」
民主主義を守れという主張。それを私たちは何度耳にしてきたことだろうか。今日でもこの主張はきこえつづけている。1960年頃と比べるなら、この主張がもつ力強さはかなり低下しているが。
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