「トランプ再選」の「逆転シナリオ」はあるのか

執筆者:足立正彦2020年10月30日
絶対に落とせないペンシルべニア州ではメラニア夫人も遊説する力の入れようだが、形勢は不利なまま(C)AFP=時事
 

 米国では秋が深まっており、10月28日には『ロサンゼルス・ドジャーズ』が32年ぶりに7度目となるワールドシリーズのチャンピオンとなった。

 そうした中、2020年大統領選挙も最終盤を迎えており、再選を狙う現職ドナルド・トランプ大統領とホワイトハウス奪還を目指すジョー・バイデン民主党候補は、連日大統領選挙の帰趨を決するとみられる「激戦州」入りし、有権者に対して最後の支持を訴えている。

 11月3日には投開票が行われ、両候補の選挙キャンペーンには終止符が打たれる。

法廷闘争に備えた最高裁判事の指名承認

 だが、トランプ大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大により今回の選挙で急増している郵便投票が民主党支持者による不正投票の温床になっているとして、法廷闘争も辞さない考えを明確にしている。そのため、投開票日後の数日間、あるいは数週間、次期大統領が決まらないままの事態が生じることも考えられる。

 20年前の2000年大統領選挙当時、筆者は首都ワシントンに勤務していたので現地で見つめることとなったが、民主党候補のアル・ゴア副大統領と共和党候補のジョージ・W.ブッシュ・テキサス州知事の対決は、フロリダ州での集計作業の混乱を巡り両陣営による訴訟合戦に発展し、最後は連邦最高裁判所での1票差の裁定で再集計作業が認められず、ゴア氏のホワイトハウスの道は閉ざされて敗北宣言し、ブッシュ候補の次期大統領当選が決まった。実に36日間も、次期大統領がいずれの候補になるのか分からない状態が続いた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。