台湾を訪問したクラック米国務次官(左)と蔡英文総統(中央)(中華民国総統府HPより)

 

 8月のアレックス・アザー米厚生長官に続く、9月17~19日のキース・クラック米国務次官の台湾訪問は、トランプ政権(第1期)の台湾政策の1つの頂点を画すものといえるだろう。

 「戦争に向けた準備を」

 クラック国務次官の訪台後、中国は台湾への圧力を一段と高めている。10月上旬、中国共産党系の『環球時報』は、胡錫進編集長名で、

 「中国が前進するための唯一の道は、戦争に向けた準備を完全に整えることだ。(中略)歴史的な転換点が近づきつつある」

 との論文を掲載した。中国軍機も中国と台湾を隔てる台湾海峡の中間線を度々侵犯し、その度に台湾軍機が緊急発進している。

 15日には、台湾が実効支配している東沙諸島に向かっていた台湾のチャーター機が、途中で引き返さざるを得なくなった。同機が香港の飛行情報区域に近づくと、香港の管制官が、

 「高度2万6000フィートより下で危険な活動が行われている」

 と警告したためで、事前に通知はなかったという。チャーター機は毎週運航し、台湾の当局者や沿岸警備員が利用している。

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