数カ月にわたって若者を中心としたデモが続くなか、11月1日、タイ・バンコクの王宮前に姿を現したワチラロンコン国王とスティダー妃 (C)EPA=時事

 

 タイでは今年8月以来、プラユット内閣の退陣や王制改革を求める市民たちが、反政府デモを繰り返している。学生など若者たちが批判の矛先を君主にまで向けるのは、前例のない事態だ。

 最近、欧州のメディアは、ラマ10世として即位したタイのワチラロンコン国王(68歳)が、1年の大半をドイツの風光明媚な観光地で過ごしている事実を頻繁に報道している。事態を重く見たドイツ政府では、ハイコ・マース外務大臣が、

 「タイ国王はドイツから政務を行ってはならない」

 と苦言を呈した。

アルプスを望む12億円の豪邸

ミュンヘン南西部のシュタルンベルガー・ゼー。タイ国王は1年の大半をこの湖に面した豪邸で過ごす (筆者撮影)

 ドイツ南部のバイエルン州。ミュンヘンから車で高速道路A95を約40分南西方向に走ると、シュタルンベルガー・ゼーという湖に着く。晴れた日には、はるか彼方にアルプスの山並みが見える。

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