「バイデン大統領」で朝鮮半島に迫られる「新戦略」(下)
2020年11月11日
韓国や北朝鮮は息をこらして米大統領選挙の行方を見守った。しかし、米国の側から見れば、ジョー・バイデン次期大統領の最初の課題は、ドナルド・トランプ大統領によって引き起こされた世界的な規模の「異常」を正常化させることであり、朝鮮半島政策の優先順位は高くない。
朝鮮問題は低い優先順位
まずはトランプ大統領が離脱した地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定への再加入から始まり、世界保健機関(WHO)からの脱退取り消しなど、国際的協調路線への復帰だけでも課題が山積している。
バイデン氏は、上院外交委員長を務めるなど外交に明るいとされるが、朝鮮半島の特異性、特に北朝鮮の特異性を十分に知っているとは思えない。
トランプ政権にはスティーブ・ビーガン国務副長官兼北朝鮮担当特別代表という、北朝鮮をよく研究し、北朝鮮の非核化に真剣に取り組もうとする人物がいた。
ビーガン氏は当初は朝鮮半島問題の素人と思われたが、精力的な学習と誠実な交渉姿勢で、米国の対北朝鮮外交ではなくてはならない存在になった。政治家でも官僚でもないので、交渉を政治利用したり、出世の踏み台にしたりする可能性は低い。北朝鮮はジョン・ボルトン前大統領補佐官やマイク・ポンペオ国務長官への激しい批判を行っているが、ビーガン特別代表への批判は控えている。
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