「ブルー・ウェーブ」不発で民主党の「混迷」

執筆者:足立正彦2020年11月13日
上院も過半数を奪われ、圧倒的優勢と予想された下院でも苦戦の末のギリギリ過半数維持で、民主党下院指導部を率いるナンシー・ペロシ下院議長にも党内から批判の声が(C)AFP=時事
 

 大統領選挙と同じ11月3日、連邦議会選挙の投票も行われたが、選挙キャンペーン期間中に公表されていた各種世論調査結果や民主党候補の政治資金調達状況などに基づき、共和、民主両党関係者や米国政治の専門家、米主要メディアの間では、民主党が大統領選挙、上院議員選挙、下院議員選挙すべてで勝利し、改選後に上下両院で同党がそれぞれ議席を純増させる「ブルー・ウェーブ」が発生する可能性があると、民主党にとり楽観的見方が広く共有されていた。

 とりわけ、注目されていたのは上院議員選挙であり、民主党が改選後4、5議席純増させて6年ぶりに多数党の立場に復帰する期待が民主党関係者の間にはあった。

 実際、投票日を目前に控えた10月下旬時点では、共和党に対する支持が強固な「レッド・ステート」で改選期を迎えていた共和党現職も民主党候補に対して苦戦を強いられ、落選する可能性すら指摘されていた。

 たとえば、西部モンタナ州の共和党現職スティーブ・デインズ氏は民主党候補のスティーブ・ブロック前知事の挑戦を受け、また、南部サウスカロライナ州の共和党現職リンゼイ・グラム氏はジェイミー・ハリソン元同州民主党委員長の挑戦を受け、それぞれ議席を奪われることで、そうした共和党牙城での現職の敗北により、上院で少数党に転落することへの懸念が共和党関係者の間でも広まっていたのである。

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