米大統領選「敗北宣言」の深く重い意味

執筆者:渡邊裕子2020年11月14日
「敵」を称えた冒頭、ブーイングを制しながら語り始めたマケイン氏の言葉に、聴衆は最後には拍手喝采で応えた
 

 選挙から4日経った11月7日の夜、まるで占領軍から解放されたかのような雰囲気のニューヨークで、カマラ・ハリスの素晴らしい勝利演説を聞きながら、私は4年前のヒラリー・クリントンのスピーチを思い出していた。

「ガラスの天井」を破ったハリスのスピーチを貫いていたメッセージは、彼女に道を開いてくれた数多くの先人たちへの感謝と、次世代への激励だった。彼女は、

「私は女性初の副大統領になるかもしれませんが、最後ではありません」

 と言った後、

「なぜなら、今夜これを見ているすべての女の子たちは、この国が可能性に満ちた国だということを見ているからです。性別にかかわらず、この国の子供達に伝えたいことがあります。アメリカは、この選挙によって、あなたがたに対して明確なメッセージを送ったのです。大胆なほどに大きな志と夢をもち、強い決意をもって進んでください。そしてまず、あなたたち自身が自分を信じて欲しい。他の人たちが信じてくれなかったとしても。彼らは、ただ、あなたのような人をこれまで見たことがないだけなのです。私たちは、あなたの一歩一歩を応援します」

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