11月15日、オンライン首脳会議でRCEPは合意したのだが (C)AFP=時事

 

 グローバリズムを国際協力と定義するならば、この4年間でグローバリズムは明らかに後退している。ドナルド・トランプ米大統領が、多国間の枠組みよりも2国間の枠組みが効率的と考えているからだ。

 効率的とは、2国間交渉はアメリカにとって有利であることを意味する。トランプ大統領の考え方は明らかに国際協力、あるいは国際協調というものではない。

機能不全の国際機関

 とはいえ、トランプ大統領が指摘している多国間の枠組みが機能しなくなったことは確かであろう。

 既存の国際機関の頂点となっている国連でさえ、毎年の国連総会は世界の指導者が政治パフォーマンスをお披露目する場と化しており、国際問題をほとんど解決できない。世界貿易機関(WTO)は世界貿易の番人であるが、実際はメンバー国の間でバランスを取る八方美人を演じているに過ぎない。

 戦後の国際機関は、戦争を防ぐために設計して設立されたものである。かつて冷戦下において東西両陣営は、国連などの場で巧みな応酬を繰り返した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。