原因についてはさまざまな説があるが、日本をふくむ東アジア地域では、欧米やインド、南米などと比べて、新型コロナウイルスの感染者数も、重症者数や死者数もかなり少ない数字で推移している。

 そんなこともあって日本では、感染防止と経済活動の活発化をどう両立させていくのかが検討課題の中心に移りつつある。とともにアフター・コロナ、ポスト・コロナという言葉も使われるようになり、コロナ以降の社会のあり方についても議論されるようになってきた。

 といっても、コロナ以降というのは想定しにくい。なぜなら新型コロナが地球上から消え去るのは不可能だと思われるからである。おそらくそれは、風邪やインフルエンザウイルスと同じように、変異しながらその活動を持続させていくことになるだろう。

 インフルエンザの完璧な治療薬がいまだに開発されていないように、さらにインフルエンザワクチンを打っても感染する人がいるように、私たちはこれからもある程度の感染の広がりを覚悟しながら暮らしていくほかない。だとすれば、ポスト・コロナの社会のあり方は検討課題ではなく、ウイズ・コロナの社会のかたちを探ることが課題にならざるをえない。

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