「ベトナム人犯罪」摘発急増「本当の闇」

執筆者:出井康博2020年11月27日
子豚を無許可で解体したとして逮捕された、ベトナム人容疑者が住むアパートの周辺。バーベキューに使ったとみられる焼き網やブロックが放置されている (C)時事

 午後10時半、東京都内の定食チェーン店でのアルバイトを終えたベトナム人のシン君(32歳)は、同僚のベトナム人留学生と一緒に店を出た。アパートまでは自転車で10分ほどだが、最寄り駅に向かう同僚に付き合い、自転車を押して歩くことにした。

 ベトナム語での会話を弾ませながら、ひと気のない公園に差し掛かった。ふと前を見ると、制服姿の2人の男が近づいてくる。パトロール中の警官たちだった。

「すみません、自転車の防犯登録を確認させてください」

 声は丁寧だが、警官たちの目つきは鋭い。一瞬怯みながら、シン君は「ハイ」と応じた。

 警官はシン君らに名前を尋ね、在留カードの提示を求めてきた。在留カードは外国人の身分証明書で、常時携帯していなくてはならない。もちろん、シン君も財布に入れて持っていた。

 日本人であれば、自転車が本人のものと確認された時点で、無罪放免となったことだろう。シン君は無灯火で自転車を走らせていたわけでもないのである。

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