緊張高まる「サウジ・UAE関係」共通点と相違点

執筆者:ハニ・サブラ2020年12月14日
やはりこの人、MBS皇太子の出方に要注意(C)AFP=時事
 

 OPEC(石油輸出国機構)とロシアなど非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」会合が12月3日、テレビ会議形式で開かれた。生産体制を巡る加盟国間の見解の相違が表面化し、そのせいで会合の日程が延期され、サウジアラビアのエネルギー相アブドルアジーズ・ビン・サルマーン(ABS)王子が「合同閣僚監視委員会」(JMMC)の共同議長を辞任すると表明するなど、当初の予想よりもドラマに満ちたものになった。これについては、別途書くつもりだ。

 また、ドナルド・トランプ米大統領が娘婿であるジャレッド・クシュナー上級顧問はじめ高官を(レームダック期間中であるにもかかわらず)「湾岸協力会議」(GCC:サウジ、クウェート、カタール、バーレーン、UAE=アラブ首長国連邦=、オマーン6カ国で構成)に送り込む、などということも起きている。

 本稿ではまず、サウジとUAEの間で高まる緊張、それが中東地域に及ぼす影響について検討する。

異なる脅威

 トランプが大統領に就任して以来、さらに2017年からのサウジ・UAE・バーレーン・エジプトによるカタール包囲網の形成以来、UAEとサウジは事実上一体であるという見方が広まっている。ある意味でこれは正しく、この2国の関係は密であり、いずれのリーダーも右派の専制主義的ナショナリストであるという共通点もある。しかも、両国とも米国と近く、イランへの深い不信感を持っている。

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