アゼルバイジャンが購入したトルコ製ドローン「バイラクタルTB2」(C)AFP=時事

 

 

11月10日、ナゴルノ・カラバフ地方を巡るアルメニアとアゼルバイジャンの戦争が停戦を迎えた。9月27日の戦争勃発から数えて約1カ月半後の停戦であり、しかも、それはアゼルバイジャンの圧倒的な勝利によるものであった。

アルメニアに極めて過酷な停戦合意

 戦争の後半、アゼルバイジャン軍はナゴルノ・カラバフ南方の平野部でアルメニア軍に壊滅的な打撃を与え、占領されていた村落を次々と奪還していった。決定的であったのは、11月9日にアゼルバイジャン軍がシュシャを占拠したことであろう。

 シュシャは、アルメニア本国とナゴルノ・カラバフの中心地を結ぶ生命線「ラチン回廊」を扼する要衝であり、ここが落ちれば、もはやアルメニア側の戦争継続は不可能となる。

 こうしてアルメニアはロシアの提示した停戦合意案を受け入れざるを得なくなったわけだが、これは極めて過酷なものであった。

 ソ連崩壊後、アルメニアは旧ナゴルノ・カラバフ自治州の全域とその周辺の緩衝地帯(「保障占領地」と呼ばれる)を軍事占領し続けてきたわけだが、今回の停戦合意では、前者の約4割と後者のほぼ全部をアゼルバイジャン側に引き渡すことが定められている。

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