今年の大河ドラマ主人公、そして2024年には新紙幣(写真)の「顔」となる渋沢栄一。しかし重要なのはその精神だ[財務省提供](C)時事

 

 2021年に没後90年を迎える渋沢栄一(1840〜1931年)。「日本の資本主義の父」「近代銀行の祖」「不世出の起業家」「最初のフィランソロピスト(慈善事業家)」――等々、数多くの呼び名を持つ近代日本の巨人の1人である。2021年『NHK』大河ドラマの主人公としても再注目されている。

 とりわけ特筆すべきは、維新の黎明期に為替、銀行、証券取引、商工会議所(財界)といった日本経済のプラットフォームを矢継ぎ早に確立した後、自ら野に下り、500を超える企業の設立・発展に携わったことである。

 第一国立銀行(現・みずほ銀行)や東京石川島造船所(後にIHI、いすゞ自動車などに分立)、ジャパン・ブルワリー(現・キリンホールディングス)、東京海上保険(現・東京海上日動火災保険)、東京電灯(現・東京電力ホールディングス)、東京地下鉄道(現・東京メトロ)など、その大半が現存し、創業から1世紀前後にもわたる長期間、日本経済の屋台骨を支えてきた。

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