日本でも人気のアプリ「ティックトック」だが、米国では国家安全保障に深刻な脅威をもたらすと大統領令の対象になった (C)AFP=時事

 

 世界1、2位の経済大国である米中両国のIT覇権争いが激しさを増している。

 最先端のデジタル技術は安全保障上の脅威にもなり得る。相手国企業を標的に自国の法規制を「域外適用」し、排除を図る動きが加速。急成長ぶりが著しい中国のIT大手といえども、強大な権限を持つ国家の前ではなすすべもない。

ティックトックを狙い撃ち

 世界で約7億人の利用者を擁する短編動画共有アプリの「TikTok(ティックトック)」。日本でも若者がダンス動画を投稿したり、企業や自治体がプレゼンテーション用に活用したりと、人気アプリの1つとなっている。

 親会社は「字節跳動(バイトダンス)」。1983年生まれの中国のソフトウェアエンジニア、張一鳴氏が2012年に創設した新興IT企業だ。

 米経済誌『フォーブス』が発表した「2020年中国長者番付」によると、張氏の資産額は約277億米ドル(約2兆8700億円)。成功を収めた張氏は、中国の富豪上位10人の仲間入りをした。

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