「利に敏い」中国が買い取った「イラク原油」の旨み
2021年1月17日

原油取引の際にはタンカー運賃も大きなコストになる(写真はイメージ)
イラクの「国営石油販売公社(State Oil Marketing Organization)」(SOMO)が中国の某社と「前渡金」条件で原油販売契約に合意した、と『フィナンシャル・タイムズ』(FT)が報じている。
買主は1年分の原油代金約20億ドルを一括して支払い、1年間かけて原油を引き取るのだそうだ。
「前渡金」契約か――。
筆者も似たような契約に関わった経験がある。
古い話で恐縮だが、お付き合い願いたい。
1つは、「ペルー国営石油」との「融資買油」だ。
ペルーとの「融資買油」とは、アマゾンの密林地帯での探鉱開発にかかわる資金を融資し、「現金」あるいは原油「現物」で返済を受ける、というスキームだった。1973(昭和48)年の第一次オイルショック以前から「石油公団」(当時、現「独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構」)が中心となって推進していた成果だ。ようやく基本合意ができて、窓口会社として「日本ペルー石油」を設立し(1974年7月)、筆者が所属していた「三井物産」も一株主として参画していた。
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