昨年10月16日、「成長戦略会議」の初会合に出席したデービッド・アトキンソン氏 (C)時事

 

 元金融アナリストで「小西美術工藝社」社長を務め、菅義偉政権が新設した有識者会議「成長戦略会議」のメンバーであるデービッド・アトキンソン氏の、

「大きくなれない中小企業は消えてもらうしかない」

 との発言が物議をかもしている。

 本当に中小企業が日本の成長性向上の阻害要因になっているのだろうか。

 今回の議論の“振り出し”は、2019年9月に出版されたアトキンソン氏の『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』(講談社)からだ。この中で同氏は、中小企業数が激増したことが日本の生産性低迷につながっていると主張した。

 菅首相は、安倍晋三前首相と近い関係にあった同氏と官房長官時代から親交があり、度々、意見交換を行っていた。2013年からビザ(査証)発給要件を緩和し、対象国を次々と増やしたことで訪日外国人を激増させた「観光立国政策」も、アトキンソン氏の助言と言われる。

 そうした関係から菅首相は就任直後の2020年9月中旬、梶山弘志経済産業相に対して、「中小企業基本法」の見直しによる中小企業の再編を促す仕組み作りを指示した。

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