トルドー連邦首相(左)とケニー・アルバータ州首相の言い分は真っ向対立(ともに政府公式HPより)
 

 アルバータ州首相の言い分は、はたして理屈に合っているのだろうか?

 ジョー・バイデン大統領が就任初日に署名した17本の大統領令の中に「キーストーンXLパイプライン建設中止」が入っていたことは、本欄『バイデン政権早くも始動「環境エネ政策」大転換』(2021年1月22日)でご紹介したとおりだ。

『フィナンシャル・タイムズ』(FT)によると、この決定に対してカナダ・アルバータ州ジェイソン・ケニー首相が連邦政府に怒りをぶつけ、対抗措置を要求している由。いわく、この措置は「NAFTA」(北米自由貿易協定。今は内容が一部改訂され「USMCA」=米国・メキシコ・カナダ協定=となっている)の精神に反するので米国に対し経済制裁を科すべきだ、と。これに対し、連邦政府のシームス・オリーガン天然資源相は、米国との広範な協力関係を維持することこそが国益だ、米国の決定を「尊重すべきだ」と言っているとのことだ。

 筆者は、前述した本欄『エネルギー通信』記事の中で、本件は短期的には石油市場に影響を与えることはないだろう、と指摘した。

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