バイデン政権「トリプルブルー」万歳とは言えない現実
2021年1月27日
アメリカで1月20日、ジョー・バイデン政権が誕生した。ドナルド・トランプ前大統領は、政治経験も軍歴もないワシントン政界のアウトサイダーだった。これに対しバイデンは、1970年代から上院議員を務め、副大統領も経験したワシントン政治究極のインサイダーである。
大統領交代に伴い、アメリカ政治は再び平穏を取り戻したと思う人もいるかもしれない。だが、その平穏はトランプ政権期と比べれば、というものに過ぎない。アメリカ政治の混乱をもたらしてきた分極化と2大政党の対立激化という構造的特徴が解消する見込みはないからである。
社会全体を覆う党派的分断
バイデン大統領は就任演説の中で「結束(unity)」という言葉を繰り返し用いた。結束が必要だというメッセージは、今日のアメリカが分断していることの裏返しでもある。もちろん、どのような社会においても何らかの亀裂は存在するだろう。
だが今日のアメリカでは、人種、経済、社会福祉など、ほぼすべての争点が党派の対立と重なってしまい、2大政党間の協調が極めて困難になっている。
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