18日、拘束されてもなお、SNSを通じて市民にデモを呼び掛けたナワリヌイ氏 (C)AFP=時事/Navalny team Youtube page

 

 ロシアのプーチン政権により毒を盛られた疑いのある反体制派政治家アレクセイ・ナワリヌイ氏が療養先のドイツから帰国した直後に拘束された。

 1月23日、これに対する抗議デモがロシア各地で発生。モスクワでは4万人が集まり、2011~12年、議会選の不正疑惑を契機に膨らんだ反プーチン運動以来の規模となった。投獄されることを覚悟で帰国したナワリヌイ氏の捨て身の行動に、プーチン政権はどう対応するのだろうか。

帰国の後押しはユリア夫人

 それは切ない抱擁だった。

 1月17日にモスクワに到着したナワリヌイ氏は、空港の入国管理を通過する直前に拘束された。同伴していたユリア夫人が抱きしめて頬にキスした後、当局に連行された。夫人が取り乱すこともなく、夫に別れを告げた姿が印象的だった。

 ロシア司法当局は翌18日、ナワリヌイ氏を逮捕し、30日間勾留すると発表した。

 ロシア当局はドイツに滞在した同氏が過去に受けた判決を巡って、執行猶予期間中の出頭義務を怠ったとして、拘束する意図を示していた。これは回復後、ロシアに戻ると明言していたナワリヌイ氏に対する警告に他ならない。それでも、ナワリヌイ氏が帰国したのはなぜか。

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