武器使用が認められた中国海警(奥)とはいえ、まず対応すべきは海上保安庁(手前)なのだが

 

 ジョー・バイデン米大統領就任直後の1月24日、日米の防衛相は電話会談で、「日米安全保障条約」(以下「日米安保」という)第5条の「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動すること」を相互に確認した。しかしこの条項だけでは、無人無住の尖閣諸島にどのような危害が及べば「米軍の出動」となるかが、はっきりしていない。

日米で「安保」条項を確認したが

 それは、領土・領海侵略・侵入に対する防衛は「まず自国自らの責任である」からだ。

 米国の地政学者ニコラス・スパイクマン(1893~1943年)は、著書『America's Strategy in World Politics』(1942年、邦訳『スパイクマン地政学 世界政治と米国の戦略』芙蓉書房出版)において、米国との集団安全保障体制に与する諸国との相互防衛の前提を次のように述べている。

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