ロウハニ大統領(写真)の後継を選ぶイラン大統領選は今年6月。もし保守強硬派が勝てば「核合意」の先行きはさらに不透明に[イラン大統領府提供](C)AFP=時事

 

 2月25日、ジョー・バイデン米大統領は、就任して初めての軍事行動を指示し、シリア東部のイラクとの国境近くに存在する親イランのシーア派民兵組織「カタイブ・ヒズボラ」および「カタイブ・サイード・アル・シュハダ」の軍事拠点を空爆した。

 この攻撃は、イラクのクルド人自治区の中心地であるエルビルに駐在する米軍に対する、2月15日に行われたミサイル攻撃の報復とみられている。

 このエルビルでの空爆では、米軍の軍属が1人、イラクの民間人が1人殺害され、米軍人を含む13人が負傷した。この攻撃が誰によるものかは明らかではなかったが、ミサイルにはイラン製の部品が使われており、イランの関与を示唆するものとして受け取られていた。

 この攻撃の背景には、昨年1月にイランの革命防衛隊の対外遠征部隊であるクッズ部隊の司令官であったガーセム・ソレイマニが殺害されたことがある。イラクに駐留する米軍は、ソレイマニ殺害の復讐としてイランないし親イラン武装勢力から攻撃されるかもしれないとして、殺害から1周年となる1月の間は厳戒態勢を取っていたが、何も起きなかったことで警戒が緩んでいる中での攻撃であった。

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