権力固めを進めるジャパロフ新大統領だが……(C)AFP=時事

 

キルギスを揺るがした元税関幹部による汚職事件。密輸を黙認して巨額の賄賂を受け取っていたその男は、数時間拘束されただけで保釈された。汚職撲滅を掲げたジャパロフ新大統領の「甘さ」が意味するものとは――。

 UAE(アラブ首長国連邦)のドバイの高層住宅群ジュメイラビーチ・レジデンスにあるアル・ファタン・マリンタワーズ 50階のペントハウス。100万ドルを下らないといわれるこの高級住宅の持ち主は、UAEから遠く離れた中央アジアの内陸国の元役人である。

 キルギス共和国の元税関幹部ライムベク・マトライモフは、職権を濫用して密貿易を黙認・奨励し、その見返りに巨額の賄賂を受け取っていた。

 同国では2020年10月、選挙不正と政治エリートの腐敗に抗議する反政府デモによって、現職大統領が辞任に追い込まれている。この抗議行動のきっかけの1つを作ったのが、汚職スキャンダルで市民の怒りを買ったマトライモフだった。彼は、組織的な票の買収を行った政党のスポンサーとしても知られていた。

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