3月23日(火)に行われたForesightオンラインセミナー(1)です。 

 常連執筆者でロシア軍事に詳しい小泉悠・東京大学特任助教を講師としてお招きし、「地盤沈下に抗うロシアの軍事戦略」というテーマでお話しいただきました。

 昨年の憲法改正によって2024年大統領選での「5選」が可能になったウラジーミル・プーチン大統領。しかし「続投」への支持は広がらず、国内では反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の釈放を求める抗議デモが拡大、旧ソ連国のベラルーシでも親ロ派政権が揺らいでいます。  

 このような「地盤沈下」によって今後のロシアの軍事戦略がどのように変わるのか、小泉特任助教がポイントを解説します!

 

 今日はロシアの軍事戦略ということで、私の専門のコア中のコアなのですが、まずは全体のバックグラウンドとして現代の戦争について私が思っていることをお話ししたいと思います。

 それは、第2次世界大戦のように国家と国家が真正面から殴り合うような戦争はやりにくいということ。核兵器の登場によって、戦争をすると人類が破滅してしまうという事態になったからです。そもそもプロイセンの軍事思想家カール・フォン・クラウゼヴィッツが言うように戦争が政治の手段なら、核戦争は政治的目的を達成し得ない、政治そのものを消滅させてしまう矛盾した戦争形態というわけです。

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