CO2排出ネットゼロ時代に「プラスチック」は消えるのか

ダニエル・ヤーギン新著『The New Map』を読む

執筆者:岩瀬昇2021年4月5日

海洋プラスチックごみの90%はアジアやアフリカ諸国から出されている (写真はイメージ)

 

   時間がかかったが、名著『石油の世紀 支配者たちの興亡』(日本放送出版協会、1991年)の著者ダニエル・ヤーギンの最新本『The New Map』(Penguin Press、2020年)を読み終え、ようやく長いあいだ考え込んでいた疑問が氷解した。

 

   筆者の心の中でもやもやしていた疑問とは、「排出ネットゼロ(カーボンニュートラル)」が実現した社会では、現代生活の隅々にまで普及している各種石油化学製品(プラスチック)はどうなっているのだろうか、ということだった。

   プラスチックの代替となるものが、いつ、どのような形で出現するのか、あるいは、しないのか?

   代替素材が出現しなければ、「排出ネットゼロ」の時代にもプラスチック原料としての石油や天然ガスは使用されつづけることになる。プラスチックは日常生活のあちらこちらで利用されており、代替なしでは生活できないからだ。

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