4月6日にウィーンで開かれたイラン核合意当事国とEUの次官級協議(C)AFP=時事
 

 

米国・イラン 3年ぶりの協議

 4月6日、オーストリアの首都ウィーン中心部にあるグランド・ホテルの玄関前に、イランと英国やフランス、ドイツ、中国、ロシアの外交官を乗せた車が次々に横づけされた。

 彼らが向かったのは、イラン核合意の約束が守られているかどうかを検証する枠組みとして機能してきた「合同委員会」と呼ばれる協議の場だ。

 今回、欧州連合(EU)や核合意の参加国が、ドナルド・トランプ米政権の離脱以降、膠着状態にある米国とイランの間を仲介することになったのだ。

 間接的ながらも、双方が3年ぶりに話し合いの場に戻ってきたとあって、世界の注目が集まった。

20%の濃縮ウランを57キロ

 2015年7月、イランと米英仏独中ロが結んだ核合意は、多国間主義の成果とみなされてきた。イランが核開発の制限や査察の強化を受け入れることと引き換えに、国連や米国などが科していた制裁を緩めるという約束だった。

 だが、米国のトランプ政権が2018年5月に、「テロ」支援や弾道ミサイルの開発、中東における武装勢力への支援などイランの行動が核合意で制限する対象に含まれていないことを理由に離脱し、制裁を再開した。経済に打撃を加えることで、イランのこうした「態度」を変えさせる意図があった。

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