台湾東部、花蓮空軍基地を飛び立つ台湾のF16戦闘機(C)AFP=時事
 

戦争準備に本気の中国

 今年3月16日、日米防衛相による対面会談において、台湾海峡で不測の事態が起きかねないとの懸念を共有し、台湾有事に際しては緊密に連携する方針も確認された。報道では、台湾有事を議題としたことが明らかになるのは異例とされたが(脚注1)、「異例」という言葉が表すように、これまで台湾問題は、まさにアンタッチャブルな案件として放置されてきた面は否定できない。しかし、昨今の情勢はもはやそれを許さなくなってきている。

 2020年10月、中国軍制服組トップの許其亮・中央軍事委員会副主席は「受動的な戦争適応から能動的な戦争立案への態勢転換を加速する(脚注2)」と訴え、中国軍が積極的に戦争に関与していく方針を示唆した。習近平国家主席も同月、海軍陸戦隊基地において「全身全霊で戦争への備えに集中しろ、警戒態勢を維持せよ(脚注3)」と指導するとともに、翌11月には中央軍事委員会訓練会議における演説でも「戦争準備への集中」を強調するなど、まさに本気で戦争準備に向かう動きが目立っている。

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