「大国」としての存在感を示すために……(C)EPA=時事

 

軍事介入の口実をつくる常とう手段

 4月7日、ロシア南部軍管区の司令官がドンバス地方の野戦指揮官と交信し、複数の標的への砲撃を命じた。ほどなく野戦指揮官がロシアの司令官に電話をかけ直し、こんな会話が交わされた。

「司令官、標的は味方ですよ」

「どうでもいいだろ。おまえは命令を受けたんだ。遂行しろ」

「味方を攻撃するのですか。気が引けます」

「気にするな。ウクライナ兵のせいにすればいいんだ。(犠牲になる親ロ武装集団の)家族の面倒は見る。能動的な段階を始めるのだ。彼らは戦争のために必要な犠牲なんだよ」

「了解。遂行します」

 両者の通信の一部始終はウクライナ情報機関が傍受しており、同国通信社「ウニアン」が音声記録を報じた。ウクライナ政府軍の攻撃と見せかけて、緊張をあおる作戦だったのか。

 翌日にはプーチン大統領の側近、ドミトリー・コザク大統領府副長がドンバスの状況次第で「ロシア人を守るために」軍事行動を起こす可能性に言及し、「ウクライナの終わりの始まりになる」と警告した。

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