米中覇権争いで埋没を恐れるプーチン大統領がウクライナで仕掛ける危うい威嚇行動

執筆者:古葉祥太 2021年4月20日
エリア: ヨーロッパ
「大国」としての存在感を示すために……(C)EPA=時事
ウクライナを巡って緊張が高まっている。ロシアが国境付近で軍備増強に動いているためだ。2014年にロシアがウクライナに侵攻してクリミア半島を併合し、同国東部ドンバス地方への軍事介入にも踏み込んだ時を彷彿とさせる規模である。プーチン政権の狙いはどこにあるのか。

 

軍事介入の口実をつくる常とう手段

 4月7日、ロシア南部軍管区の司令官がドンバス地方の野戦指揮官と交信し、複数の標的への砲撃を命じた。ほどなく野戦指揮官がロシアの司令官に電話をかけ直し、こんな会話が交わされた。

「司令官、標的は味方ですよ」

「どうでもいいだろ。おまえは命令を受けたんだ。遂行しろ」

「味方を攻撃するのですか。気が引けます」

「気にするな。ウクライナ兵のせいにすればいいんだ。(犠牲になる親ロ武装集団の)家族の面倒は見る。能動的な段階を始めるのだ。彼らは戦争のために必要な犠牲なんだよ」

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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古葉祥太(こばしょうた) ジャーナリスト
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