英国で5月6日、地方選が実施される。この国の慣例通り木曜日の投票で、200を超える議会選や首長選の集中ぶりは、米大統領選の「スーパー・チューズデー」になぞらえて冗談半分に「スーパー・サーズデー」と称される。
どこの国の場合も、地方選の焦点は通常、巨大な権限を握る首都の首長選である。英国でも実際、ロンドン市長選で労働党出身の現職サディク・カーンが再選されるかが大きな話題となるはずだった。
しかし、今回はそれがすっかり霞んでいる。
政界もメディアも市民も、同時に実施されるスコットランド自治議会選の行方に関心を奪われているからである。
結果次第では、スコットランド独立への流れが加速化し、連合王国が解体への道を歩み始めかねない。2020年1月に欧州連合(EU)から脱退し、年末には移行期間を終了させて完全離脱を果たした英国は、早くも正念場を迎えている。
問題点を整理し、今後のシナリオを考えてみたい。
ブレア政権で自治議会が発足
広く知られている通り、連合王国としての英国は主にイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドから構成される。これらの4カ国はそれぞれ、異なる歴史と、異なるアイデンティティーと、異なる自治制度を持っている。
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